「加藤康之の投資講座ー入門編」で学んだ為替リスクへの向き合い方


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はじめまして、お金のデザイン カスタマーエクスペリエンス部アカウントマネージャーの水野智之と申します。先月お金のデザインに入社し、金融機関との提携ビジネスを担当しております。

3月15日(木)に、京都大学経営管理大学院 ファイナンス(お金のデザイン)寄付講座 第3回「加藤康之の投資講座―入門編」―為替リスクについて学ぶ―に出席してきました。為替リスクについて様々な学びがありましたので、このBlogでシェアさせていただきます。

第3回となる「加藤康之の投資講座―入門編」では、第1回「投資理論を資産運用に役立てる」、第2回「なぜパッシブ運用なのか?」に続き、「為替リスクについて学ぶ」をテーマとして講義が行われました。今回は約50名の方々が参加されました。

加藤教授が穏やかな語り口で講義をされましたが、途中笑いが起きる場面も多く、皆さま大変関心をもって聴講されていました。


為替の影響とは?

日本で生活をしていると、為替の影響を意識することは多くないかと思います。しかし、加藤教授は、「日本企業の海外売上高比率は、2000年度(28.6%)から2016年度(56.5%)にかけて、約2倍に伸びています*。例えば、日本の代表的なメーカーであるトヨタ自動車は、その利益の7~8割が米国を中心とした海外になっており、トヨタの株価は為替変動に影響を受けていると言えるでしょう。これは一例ですが、日本の株式も、為替変動の影響を大きく受けていると言えます。」と説明されていました。

*出所:ジェトロ世界貿易投資報告 2017年度版

THEOは、お客様からお預かりした資産を全てドルベースで運用していますので、お客様から、「THEOはドルベースの運用ですが為替リスクが大きいのではないですか?」というご質問をいただくことが多くあります。しかし、前述のように、円ベースで日本株に投資していた場合でも、為替変動の影響は間接的に受けるということが言えます。

為替の変動にどのように対処すれば良いか?

グローバルに投資を行う限り、為替リスクから逃れることは出来ません。また、日本株式の為替リスクもゼロにはなりません。それでは、どの様に為替リスクと向き合うのが良いのでしょうか?

加藤教授によれば、
「為替リスクを軽減するには、既存外貨資産の為替ヘッジと投資対象地域の拡大という考えが有ります。

既存外貨資産の為替ヘッジとは、為替予約取引等を使って、将来通貨を交換する際の為替レートをあらかじめ決めておくことです。

為替ヘッジにはコストがかかります。このコストは日本と外国との金利差に連動し、現時点では、日米の金利差をあらわす円買い・ドル売りの予約コストが急上昇しているという理由から、このヘッジコストは上昇しているという状況です。」とのことでした。

また、加藤教授は、金融機関での実務経験も豊富に持っておられる方ですが、「為替は短期的には大きく変動するので、タイミングを計れば儲かりますが、実体験として、常にタイミングを当てられる人はほぼいない。」という考えも示されていました。

投資対象地域の拡大について、加藤教授は、「世界の様々な地域に投資をすることです。様々な通貨へ投資することで、円とドルの連動性が低い資産を保有することができ、リスクヘッジを行うことに繋がります。」と解説されました。

主な質疑応答

Q:”近隣諸外国の直近のリスクをどう考えたら良いですか?”

A加藤教授:”大きな有事の際は、短期では市場がどういった動きをするか誰にも分からないため、長期的な観点で見ることが重要です。”

Q:”日本の成長率が低いという話は、日本企業の収益力が欧米企業に劣ることが原因なのでしょうか?”

A加藤教授:”確かにそのような側面もありますが、日本でもコーポレート・ガバナンスの重要性が近年浸透しており、ROE(自己資本に対する純利益の比率)が10%を超える見通しもある*というのは前向きなお話ではないでしょうか。”

*東京証券取引所第1部の上場企業(金融などを除く)を集計
出所:2018/3/13付け日本経済新聞電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2806064013032018SHA000/

まとめ

「加藤康之の投資講座―入門編」で私が学んだことは、

・日本株式の場合でも、為替リスクがある。

・為替リスクを含む様々なリスクは、長期的視点で考えることが重要。

・分散投資、長期投資により、リスクをある程度マネジメントできる。

ということでした。

お金のデザインでは、世界中の資産に分散投資することでリスクを減らし、同時に長期投資により資産を守り育てていくことをおすすめしています。

また、次回の「加藤康之の投資講座―入門編」第4回では、スマートベータの講義を予定しております。ご都合のつく方は、投資や資産運用を考えるきっかけとして、是非ご参加ください。

執筆者

得意分野:投資理論・金融工学

加藤康之

  • 投資
  • 年金

お金のデザイン研究所所長、首都大学東京特任教授、京都大学客員教授。東京工業大学修士、京都大学博士。(株)野村総合研究所、野村證券(株)、同社執行役、京都大学教授などを経て現職。専門は投資理論・金融工学。他に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)経営委員、証券アナリストジャーナル編集委員などを兼務。