資産運用の基本(前編)「貯金しているだけではダメですか?」


お金を通じて人生について考える

“東証マネ部!”人生100年時代のマネーリテラシー

東京証券取引所が運営する、身近なお金の話からプロが教える資産形成のノウハウまでわかりやすく解説するサイト「東証マネ部!」をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。”資産運用のプロ”である「東証マネ部!」さんにお金のことをやさしく教えていただくコーナーを不定期でTHEO Blogに掲載いたします。

今回のテーマは、資産運用の基本(前編)「貯金しているだけではダメですか?」

「東証マネ部!」の運営をしている東京証券取引所 金融リテラシーサポート部の三木誠氏に、お金のデザインのメンバーが、これからの時代に必要になるお金の知識や、資産運用の考え方の基本をお伺いしていきます。


<プロフィール>

東京証券取引所 金融リテラシーサポート部 課長 三木誠

2000年 慶應義塾大学環境情報学部卒業、東京証券取引所入社。
派生商品部等を経て、上場審査部では株式やETFの新規上場の審査等を担当。その後、マーケット営業部にてETF、上場デリバティブ等の市場拡大のためのセカンダリー活性化業務を担当し、機関投資家向け営業や個人投資家向けプロモーションに従事。2017年4月より現職となり、ETFのマーケティング及び個人投資家層の裾野拡大を担当。「東証マネ部!」の運営責任者として投資無関心層への啓蒙活動に従事している。
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。


「お金のことを考える」というのは、「人生を考える」ということ

ー「東証マネ部!」では、一般の方の「お金のリテラシー(知識・能力)」を上げる活動をされているそうですが、私たちにはなぜお金のリテラシーが必要なのでしょうか?

三木氏:一言で言うと「幸せな人生を送るため」だと思います。
人生を歩む上で、やっぱり「お金」は大切なもの。将来に向けて準備をしたり、効率よく増やしていくためには、お金について学ぶ必要があります。
お金は、無ければ無いなりに、最低限の生活をしていくことはできると思います。でも、無いよりはあった方が良い。ある程度の余裕があれば、人生においての選択肢も増え、より幸せな人生を送ることができるのではないでしょうか。
そのためには、まず「お金と向き合ってみる」ことからスタートです。自分の人生や、生活とそれに使うお金を見直し、必要であれば早くから資産運用を始めることで「時間を味方につけて」少しずつ増やしていくことが可能です。ただ、日々の生活のなかでお金と向き合う機会はあまりないかもしれませんね。結婚や出産などのライフイベントなどを契機に考え始める方が多いとは思います。

ーライフイベントによって急に必要なお金が見えてきて、お金について考えるということですね。

三木氏:そうですね。お子さんが産まれて初めて”なんとなく貯めているだけでは足りないのでは・・”と、お金について考え始める人は多いです。
「自分がもし死んでしまったらどうしよう?」「子供が大学に行くときにいくらくらいかかる?」など、具体的に心配になってくる。ただ投資に関しては、本当はライフイベントが起きた時に始めるよりも、できれば若いうち、20代くらいから少しずつ経験を積んでおくと良いと思います。何かが起きた時に、何も準備ができていなかったら不安ですよね。

ー結婚や子育て以外にも、人生には様々なライフイベントがありますし、想定外の費用がかかってくることもありますよね。

三木氏:”お金を通じて、人生について考える”ということが重要なのだろうなと思っています。自分はなぜお金が必要なのか、いつ必要になるのか、と考える機会を持つことで人生をより良く過ごすことにつながると思います。
投資についても同様で、まず、”自分はなぜ投資をするのか”、そして”投資にはどういう意味があるのか”ということも考えてみる。例えば、株を買ったとしたら、それをきっかけにその会社がどういう利益を出して、どれだけ配当を出すのか、など、株主のお金がどのように流れていくのかを知ろうとするのは良いと思います。どのような投資なのかを理解して始めることで、その後の結果への納得感も違ってくると思います。そうして、将来の充実した生活につながって行くと私は思っています。
私は、上場審査部(東証上場会社になれるかどうか会社を審査する部署)に所属していたことがあったので、業務として「投資したお金を企業がどのように使っているのか」を注意深く見る癖がたまたまつきましたが、自分の投資が企業に役立っていることを意識すると、個人投資家の皆様の投資に対する意味合いもだいぶ変わると考えています。

ー自分の人生やライフスタイルに合った投資の方法を考えていくことも大事なんですね。

三木氏:はい、私は仕事柄、投資を成功させている方、うまくいかなかった方、それぞれ見てきました。様々な投資方法があり、100人いれば100通りのやり方があります。そのうちに、プロでなくても、「普通の人」でも勝てる可能性が高い方法がある、ということがわかってきたので、ぜひ多くの人にその方法を周知させたいと思うようになりました。短期ではなく、長期で投資を行うことで時間を武器にすれば、日々の投資にかける時間をあまり割かなくても、長期的には勝てる可能性は高くなるんです。

「普通の人の資産形成」という観点で言えば、安い時に買って高い時に売るいわゆる「マネーゲーム」とは違った考え方をすべきです。デイトレーダーも素晴らしい仕事だと思いますが、片手間にやるようなものではなく、文字通り“仕事”になってしまうと思います。というのも、上がる株を探したり、安い時に買って高い時に売ることは本当に難しく、誰もができるというものではありません。多くの方ができる投資方法を考え、それを皆さんに伝えていくのも私たちの仕事だと思っています。

貯金しているだけではダメですか?

ー最近「人生100年時代」という言葉を聞くことが増えてきました。将来に向けた準備として貯金をしている人はたくさんいると思いますが、それだけでは不十分なのでしょうか?

三木氏:まず、いまの金利水準を考えてみてください。例えば普通預金だと平均0.01%の非常に低い金利の状態です。(日本銀行「普通預金の平均年利率(2018年11月21日)」より)

現在20代から40代くらいの皆さんは、自分の親やおじいさんおばあさんから「貯金をしましょう」と教わってきたと思います。私の両親も、投資をせず預金だけで生活しながら、私を育ててくれたのですが、彼らの世代は、なんと年率7〜8%くらいの預金金利だったのです。今の若い世代にはわからないかもしれませんが、年率7〜8%というのは、単純に計算して10年預ければ元のお金の”2倍”になるということです。日本は景気が良かったんですね。そういう時代に働き盛りだった世代にとっては、預金が一番確実にお金を増やせる「賢い資産形成のやりかた」だったわけです。投資のようなリスクをとらなくても、増やすことができた。しかし金利水準が低い今は、少しのリスクをとらないと、お金を増やすことができなくなってきています。親の世代と同じことをしていても、自分の子供に、自分がしてもらったような生活や教育を与えてあげることができない、それは確実です。

ー当時は、銀行預金さえしていれば投資をしなくてもよかったということなのですね。

三木氏:そうですね。また、当時の投資というのは「上がる株を探す」というやり方が主流でした。それも株を最低単位買うのに100万円以上する銘柄が多かった時代で、当時の投資に対するハードルは非常に高かったんです。今は少額から始められるようになってきていますし、それこそAIも発達していて、テクノロジーの力をつかって、手軽にリスクの低い国際分散投資も行えるようになっており、当時の投資とは違ってきています。

ー預金で金利がつかなかったとしても、元本を割ってしまうリスクを考えるとなかなか投資に踏み出せない、という方もいると思いますが、どう考えていけば良いでしょうか。

三木氏:運用しなくても将来十分に暮らしていけるのであれば、特に投資をする必要はないと思います。
ただ、老後も考えたうえで準備すべき金額を割り出し、そこから逆算して、月々貯めなければいけない金額はいくら・・という計算をしてみていただくとわかると思うのですが、平均的な給与水準の方ですと運用せず貯めていくだけで、将来余裕をもった生活を送るのは難しいでしょう。充実した生活を送っていくためには、運用して増やしていくことも検討すべきだと思います。
投資の種類にもよりますが、例えば長期で年4%の運用をしてみたと考えてみましょう。年40万円を単純に20年積み立てていくと800万円になりますが、年4%で運用していたら、20年後には1,200万円になるんですよね。預金で金利がゼロの場合は800万円は800万円のままなので、その差は大きいですよね。10年20年と長期で投資することを考えた場合、4%の金利で運用するというのはそこまで難しいことではないと思います。

ー今、20年の長期の例を見ましたが、短期間で見ると相場はもっと上がったり下がったりしていますよね?その間は何も考えなくて良いのでしょうか。

三木氏:確かに一年単位で見ると、10%上がる時もありますが、10%下がる時もあります。大事なのは、あまり焦らずに「そういうものだ」と認識しながら見ていくことです。しかし、ご自身で投資をしている場合、その間完全にほったらかしで良いのかというとそうではありません。投資って、自分が立てた戦略をやり抜けるかどうかが、「勝てるかどうか」の最大のポイントです。

例えば100万円を投資して、120万円になったら売ろう、80万円になったら損切ろう、というルールを作っていたとしても、なかなか戦略通りに行動することができないのが人間です。
例えば100万円が”110万円”になったときに「10万円利益が出た!」と焦って売ってしまったり、もしくは”80万円”まで下がったら損切りしなければならないのに、20万円のマイナスに耐えられず、いつか戻るかもしれないと思ってずるずる続けて、そのまま50万円になるまで持ち続けてしまったり。個人投資家の方々を見てみると、立てた戦略がうまくいくかどうかは五分五分、もしくはそれより少し高いくらいです。その間、多くの人は今例で出したように「小さく勝って大きく負ける」というのをしてしまいがちです。投資額が10万円だったら、「2割上がるまで待とう」ということができるかもしれません、しかし投資額が1,000万円だったら?そこまで上がる前、特に初心者の方は例えば50万円利益がでたところで「もういいや」と思ってルールを守れなくなってしまう。人の感情として、金額が大きくなればなるほど、戦略通りに行動するというのは、難しくなってくる。これは“投資あるある”です。

それを克服するために、自分が立てた戦略をしっかり守る力、「投資力」が必要なのだと思います。投資力を身につけるのはそんなに難しいことではありません。もし”ロボアドバイザー”に投資を任せていたとしても、実際「ロボはどう動いているかな?」と運用を見るようにすると良いでしょう。そうすると、ロボに頼らず自分でも少しやってみる、など投資の選択肢が増えてきます。ロボアドは完全に任せて放っておけるのが良い点ですが、私は、自分でも見て学びながら、心を鍛えて行くのが良いのではないかと思います。

<後編に続く>

mag.okane-kenko.jp

※本稿において、記載されたインタビュー内容の見解は、三木様個人の本インタビュー実施時点におけるご見解です。株式会社東京証券取引所および株式会社お金のデザインの公式見解ではありません。


<東証マネ部とは>

「東証マネ部!」は、身近なお金の話から、プロが教える資産形成のノウハウまでわかりやすく解説し、様々な資産形成法も紹介するサイトです。人生100年時代と言われる昨今、貯蓄はもちろん、自身の資産を計画的且つ安定的に運用していくことが大切です。しかしお金に対する不安を持っている方も多いのではないでしょうか。
「東証マネ部!」では、そんな不安や疑問を解消するお金に関するコラムや、アニメーション動画など、これから投資を始める方からすでに投資を始めている方まで楽しめるコンテンツを多数ご用意しています

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