こんにちは、ファイナンシャルプランナーの池田昇太です。
投資で大きな利益を上げている人の中には「税金の負担が大きくて困る」「他の投資と損益通算できたらいいのにな」と感じている人は多いかと思います。
税負担を軽くするために、投資法人の設立を検討している人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では、投資法人の設立を判断していただくために
- 投資法人とは何か
- 投資法人を設立する手順
- 投資法人を設立するメリット
について解説します。
※この記事は2020年11月時点での税制をもとに執筆されています。
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投資法人とは?
はじめに、そもそも投資法人とは何か、どんな種類の投資法人があるのかを解説します。
投資法人とは
投資法人とは、投資家から集めた資金を運用し、その利益の一部を投資家に還元する会社のことです。
別名ベンチャーキャピタル、または会社型投資信託とも言います。
投資家は、投資法人の会社株の購入により、投資法人に出資可能。
そして集まった資金は、投資法人に所属する資産運用のプロが運用するのです。
投資法人の投資先は株式・債券・不動産。
他にも投資法人は、企業買収やベンチャー企業への投資で利益を狙います。
それでは投資法人は、どのように利益を出しているのでしょうか。
投資法人の利益は、投資家から集めたお金の運用益と、手数料です。
投資法人は投資家の代わりに資産運用するので、手数料を徴収しています。
例えば、年間1.9%の手数料を取るなら、投資家から200万円の資金を預かっていた場合、年間3万8000円の手数料が発生する計算です。
▼投資ファンドの仕組みについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
不動産投資法人
不動産投資法人とは、不動産に投資して収益を得る投資法人。
REIT(不動産投資信託)と同じ意味と理解して差し支えありません。
REITとは不動産をメインに投資する投資信託であり、不動産の運用益は投資家に還元されます。
少額から不動産投資ができるため、REITは投資初心者にとってハードルの低い金融商品と言えるでしょう。
不動産投資法人は投資証券を発行し、証券取引所に上場させます。
その投資証券の売却を通し、不動産投資法人は資金調達をするのです。
証券投資法人
証券投資法人とは、主に有価証券が投資先の投資法人のことです。
投資証券を発行して証券取引所に上場し、資金調達します。
証券投資法人は、ベンチャー企業に投資できるのが特徴。
一般の投資家は、証券取引所で取り扱っていないベンチャー企業の株式を購入できませんが、証券投資法人を通せばベンチャー企業に投資するチャンスを得られます。
証券投資法人は、他にも未公開株の関連資産や、上場5年以内の銘柄を含んだベンチャーファンドに出資します。
ただしベンチャーファンドには、価格変動リスクや倒産による信用リスクがあるので、注意が必要です。
インフラ投資法人
インフラ投資法人とは、再生可能エネルギー発電設備・公共施設等運営権を投資先とする投資法人。
再生可能エネルギー発電設備は、風力・地熱・太陽光・水力・バイオマス発電が対象となります。
公共施設等運営権は、空港・鉄道・道路・水道が対象です。
参考まで、2020年11月現在、東京証券取引所にて上場しているインフラ投資法人のファンドのポートフォリオを確認したところ、ほとんどが太陽光発電所でした。
投資法人の設立方法を解説!
次に投資法人の設立方法を紹介します。
投資法人の設立は、
- 定款の作成・認証
- 資本金の入金
- 登記
の順で行います。
それでは、投資法人の設立方法を詳しく解説します。
定款の作成と認証
投資法人を設立するには、まず定款の作成・認証をしましょう。
定款(ていかん)とは、会社内の決まりごとを明文化したものを指します。
定款に記載する内容は、以下の3つ。
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
絶対的記載事項とは、必ず定款に記載しなくてはならない内容であり、記載がなければ定款の効力を有しません。
絶対的記載事項の具体的な項目は、次の通りです。
- 目的
- 商号
- 会社の所在地
- 設立時に出資される財産の額
- 発起人の氏名と住所
- 発行可能株式総数
相対的記載事項とは、記載は必須ではありませんが、記載しないと効力を有しない内容です。
具体的には、以下のような記載事項があります。
- 取締役会、監査役 会計参与、会計監査人などの設置
- 株主総会、取締役会招集期間短縮
- 株券の発行や単元株式数の取り決め
- 譲渡制限株式の売渡相手の指定
任意的記載事項とは、記載しなくてはならないものではなく、なおかつ記載がない場合でも効力を有する内容です。
例えば、
- 株主総会の時期
- 取締役の人数
- 事業年度に関する取り決め
が該当します。
定款の記載が済んだら、定款の認証をしましょう。
定款の認証をする目的は「この定款は会社の発起人全員が合意して作成したもの」と公的に証明することです。
定款を認証しておけば、正式に会社内の規則となるので、社内でトラブルが発生したときに、解決する基準として活用できます。
資本金を振り込む
投資法人を設立の手順2つ目は、資本金の振込。
資本金額は定款に定めた金額です。
この段階では、まだ会社は設立できていないので、発起人の銀行口座に資本金を振り込みます。
発起人が複数人いる場合は、代表者を1人決め、代表者個人の銀行口座に振り込みましょう。
発起人1人当たりが必要な金額分を入金したかどうかを通帳で確認するために、必ず銀行振り込みにする必要があります。
登記を行う
投資法人を設立の最後の手順は、登記です。
登記とは、会社の存在を一般に公表すること。
登記をして、会社の存在・資本金額・事業内容といった情報を公開します。
登記事項は誰でも閲覧可能。
他の会社に「本当に実在する会社なのだろうか」と疑問を持たれても、登記が会社の存在の証明になるため、最低限の信用の担保に繋がります。
登記するためには、まず登記申請書類を作成しましょう。
申請書に記載する内容は、以下の通り。
- 会社の名前、住所
- 登記の事由(登記する理由)
- 登記すべき事項(登記に必要な書類を用意し、「別紙の通り」と書くのが一般的)
- 課税標準金額(資本金の額)
- 登録免許税
- 添付書類
また、添付書類は以下の通り。
- 定款
- 代表取締役を選定したことを証明する書類
- 取締役の就任承諾書
- 発起人の同意書
- 印鑑証明書
- 本人確認証明書
など。
登記書類の準備ができたら、法務局に提出して登記します。
投資法人を設立するメリット
投資法人を設立するメリットは何でしょうか。
ここでは、投資法人設立の5つのメリットを解説します。
- 損益通算できる
- 損失の繰り越しが最大9年可能
- 節税になる
- 個人と法人の2つの口座を持てる
- 株主優待の2重取り
ひとつずつ詳しく説明するので、法人設立をするかどうかの判断材料にしてください。
損益通算できる
損益通算できる点は、投資法人のメリットの1つです。
投資による利益を損益通算できる範囲は、個人と法人で大きく異なります。
仮にFXで損失を出して、投資信託で利益を得たとしましょう。
個人の場合、FXと投資信託は損益通算できません。
なぜなら、FXの利益は所得税の「先物取引に係る雑所得等」、投資信託の売却益は「譲渡所得」として扱われ、所得税上で別の区分になるためです。
一方で法人の場合、法人税上は区分が設けられていないため、FXと投資信託の損益通算ができるのです。
また、投資法人は、投資の損益と事業の損益を合算し損益通算できるメリットもあります。
損失の繰越控除が最大10年可能
投資法人なら、損失が生じた年から最大10年間は、欠損金の繰越控除が可能です。(平成28年度の税制改正より)
例えば、2020年度に株式投資で400万円の損失を出した場合、以降10年間に渡って損金として算入できます。
つまり2030年度までは、株式投資の損失400万円の範囲内で、事業利益に対する課税価格を相殺できるのです。
もちろん個人の場合も、損失の繰越控除は可能ですが、3年間に限られています。
なお海外FX・仮想通貨取引のように、繰越控除の対象ではない投資もありますので、注意してください。
参考:国税庁|No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
節税対策になる
投資法人を設立すれば、節税対策になります。
個人投資家でも、書籍代やセミナー代などの投資に関する出費を経費に計上できますが、投資法人なら、会社に関わる出費も経費にできるためです。
投資法人の経費対象となり得る出費には、水道光熱費・健康保険や介護保険といった法定福利費・社員や自分に支払う給料・民間の生命保険料が挙げられます。
投資法人を作る人は、投資で大きな利益を上げている人がほとんどでしょう。
しかし多く稼げば稼ぐほど、課税額は大きくなるので、なるべく税金の負担は減らしたいもの。
多くの項目を経費にすることで、税負担を軽くできるのです。
個人と法人の2つの口座を持てる
投資法人を設立すれば、個人用・法人用の2つの口座を使用できるメリットもあります。
法人は個人と別人格になり、法人用の口座を開設できるためです。
これから投資法人を作る人には、証券会社で法人口座・個人口座の両方を開設して、株式のIPO(新規公開株式)に参加するのをおすすめします。
IPOとは、企業が自社株を新たに証券取引所へ上場させること。
IPO株は、上場直後に値上がりするケースがあるので、投資家の間で注目されている投資方法の1つです。
証券会社を通してIPOに参加し、抽選に通ればIPO株を購入できます。
投資法人を設立すれば、個人用と法人用の2つの口座を利用して申し込めるので、IPO株の抽選に当選する確率がアップ。
投資法人設立後は、IPOへの挑戦も検討してみてください。
株主優待の2重取り
投資法人のメリットを生かし、個人用・法人用の2つの口座を開設すれば、株主優待も2重取りできます。
株主優待とは、一定数以上の株式を保有している株主に対して、その会社の商品券や割引券をはじめとしたプレゼントを渡す制度。
株主優待の権利は、株主名簿の名義に応じて付与されます。
そのため、同じ企業の株を複数の口座に分けて保有していても、1人分の株主優待の権利しか獲得できません。
しかし、投資法人を設立し、法人名義の口座で必要な数の株式を保有すれば、個人名義とは別に法人名義でも株主優待を受け取ることが可能です。
ただし会社によっては株主優待を導入していないところもあるので、ご注意ください。
投資法人のメリットを理解したうえで設立を検討しよう
この記事では、投資法人のメリットや設立の方法を解説しました。
記事の内容をまとめると、次のようになります。
- 投資法人とは投資家から集めた資金で資産運用する会社である
- 投資法人の設立方法は、定款作成→資本金の振り込み→登記の順で行う
- 投資法人の設立には、個人投資家よりも損益通算や繰り越し控除の面で有利になるメリットがある
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池田 昇太