「ゲイの方は保険には入るメリットが少ないと思っていますし、“自分には必要ない”って思っている方が多いんです」
そう話すR&C株式会社のインシュアランスアドバイザーの加藤良さんは、これまで多くのゲイの人の保険契約を担当してきました。
そして、ご自身もゲイだとカミングアウトしています。
当事者だからこそ、保険加入の際に感じる不安や疑問。
特によく耳にする「結婚や出産、住宅購入、子供の進学などのライフプラン」は、「ほとんどのLGBTの方には当てはまらず、最初からいないことが前提となっている」という違和感を感じたと言います。
そんな加藤さんに保険のプロとして、当事者として、ゲイの人が保険加入する上で感じる不安や課題などについてインタビューしました。
【加藤 良(かとう・りょう)】
大学卒業後、ソフトウェア企業の営業職やトレーナーを経て、大手外資系保険会社に転職。その後実業家としてさまざまなことに挑戦した後、2020年にR&C株式会社に入社。現在は同社の子会社、株式会社ダイバースパートナーズでパートナー共済事業部マネージャーも務める。プライベートでは社会人アメフトチームを立ち上げ、選手兼監督として活躍。
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保険は結婚や子育てをする人のためだけにあるわけではない
編集部:一般的にLGBTの方は保険に入ることが難しいと聞きます。
ゲイの方も保険に入る方は少ないのでしょうか?
加藤さん:そうですね。
そもそもゲイの方は保険に入るメリットが少ないと思っていますし、“自分には必要ない”って思っている方が多いんです。
結婚もしないし子供もいないから、保険なんて必要ない、今を楽しめばいいんだって。
でも、保険は結婚や子育てをする人たちのためだけにあるものではありません。
病気やケガをしたときの備えはもちろん、老後を豊かに暮らすための資金にもなります。
また、同性パートナーを受け取り人にすることができたり、HIVポジティブでも加入可能な保険もありますし、なかにはHIVに感染したら給付金が支払われる保険だってあるんです。
弊社でもLGBTの方が入りやすいパートナー共済をご用意しています。
編集部:知っていればその上で「入る」「入らない」の選択ができますが、知らないのはもったいないですよね。
加藤さん:もったいないですし、個人的には知らなかったゆえにお金で困る人を増やしたくありません。
というのも、私自身お金で苦労した経験があるから。
私は母子家庭で母は保険に入っていたものの、どういう保険かよく理解していませんでした。
自分のケースに合うものかきちんと確認せず、すすめられた保険に入ってしまっていたのでしょう。
私が高校生のときに母は病気で倒れたのですが、ずっと加入していた保険は使えず、治療費はもちろん私の大学費を工面するのにも苦労しました。
結局伯母が保険を解約してくれ、大学に通うことができ、保険に助けられたのですが…。
保険会社に就職してからは、「この保険に入っていたら母はもっと良い治療を受けられたのではないか」「何でよく理解しないまま無駄な保険に入ってしまっていたんだろう」と思うことが度々ありました。
自分にとって本当に必要な保険を選ぶことの大切さを痛感しましたし、お金で困る人を増やしたくないと強く思いました。
保険に入らないのは本音で話せるFPに出会っていないから
編集部:ゲイの方で保険に入らない人が多いのは、保険に入るメリットを知らないからなのでしょうか?
加藤さん:それもあると思いますが、一番は保険に入る必要性を感じられないこと。
そして、本音で話せるFPに出会っていないからだと思います。
私はFPになる前はトレーナーをしていて、当時保険の営業を受けたことがあります。
「◯歳くらいで結婚したとして、子供は何人欲しいですか?子供の学校は公立、私立?それなら◯歳までにこのくらいのお金が必要ですね」とライフプランを作成したんです。
でも、私は結婚も子供も持つ予定ないですから全然ピンと来なくて…むしろ結婚や子育てがある前提で話をされることに強い違和感を抱きました。
編集部:仮に保険を検討していたとしてもその前提で話が進むと、「相談してもわかってもらえなそうだな」とも思ってしまうかもしれませんね。
加藤さん:ライフプラン自体は、生涯で必要となるお金がイメージできるので良いと思います。
でも、みんながみんなそのパッケージに当てはまるわけではないはず。
だから、私はお客様に結婚や子育てありきのライフプランの話はしません。
誰に対しても固定概念は持たないように意識しています。
編集部:ご自身の経験を活かしているんですね。他に意識していることはありますか?
加藤さん:お客様にとって本当に必要な保険をご提案するためには、なるべく本音で話していただくことが大切。
だから、私はまず自分が当事者だということをカミングアウトするんです。
もちろんお客様がカミングアウトする必要はありません。
ただ自己開示をすると、お客様も「話しにくいな」と思っていることもお話してくださることが多いんです。
なかには、「実はHIVポジティブなんですけど…」と打ち明けてくださる方も。
その時はお客様に少しでも安心していただけるよう、「他にも同じようなお客様がいます」「お問い合わせの多いご相談なんですよ」といった言葉をかけるようにしています。
編集部:その言葉にホッとされる方は多いでしょうね。
本音で話せるとお客様も納得して商品を選ぶことができそうです。
加藤さん:そうですね、お客様からは「こんなに腹を割って話せたのは初めて。ありがとう」と言っていただくこともあります。
つらい経験をしたからこそ同じような人を減らしたい
編集部:加藤さんはゲイと公表されていますが、昔からオープンだったのですか?
加藤さん:いえ、昔は一切公表していませんでした。
やはり打ち明けるのは勇気がいりますし、これまでつらい経験や生きづらさも度々感じてきました。
特につらかったのが大学時代。
当時アメフト部に所属していたのですが、ネットにゲイではないかと書き込みをされたんです。
当時は今ほどLGBTヘの理解もなかったので、周囲の噂も絶えず、非常に苦しい想いをしました。
イジメを受けたり、周囲に合わせなきゃというストレスを抱えたり、自分の存在を肯定する機会が少なかったり…一概には言えませんが、ゲイの方が抱える課題はさまざま。
そんな現状を少しでも変えるために、私がカミングアウトして自分らしく生きることが誰かの役に立つのではないかと思いました。
FPとしても当事者の方に安心して相談していただき、ベストな保険をご提案することで、お金の心配事を減らし、人生をより楽しむ人を増やせるのではと思っています。
ちなみに私はトレーナー資格もあるので、保険だけでなく、体づくりのアドバイスもさせていただきます。
お客様は保険も健康も手に入れられます(笑)。
編集部:スポーツマンの加藤さんはFP以外の顔も持っているんですよね。
加藤さん:昨年社会人アメフトチーム『下町ゴリラズ』を設立して、代表兼監督を務めています。
現在50名ほど所属しており、私も選手として試合に出ています。
大好きなアメフトを盛り上げたいという思いのほか、大学時代の経験からセクシュアリティや性別に関係なく、本気でスポーツに取り組める環境を作りたかったんです。
チームでは、国連で採択されたSDGs(※)の「ジェンダー平等を実現しよう」に賛同し、さまざまな取り組みをしています。
多様性は組織において強みになると思っています。
ゲイの方が自分自身を大切にして人生をより豊かに楽しめるように、これからもFPとしても、いち個人としてもできることを全力でやっていきたいですね。
※SDGs(持続可能な開発目標)とは、より良い世界を目指すために国連で採択された国際社会共通の目標。
まずはプロに相談してみよう!チャット相談も可能
今回はゲイと保険をテーマに、R&C株式会社の加藤さんにお話を伺いました。
さまざまな経験を乗り越えてきた加藤さんだからこそ、発する言葉には説得力がありました。
また、「結婚や出産ありきの話はしない。誰に対しても固定概念を持たない」という加藤さんの姿勢は、ゲイの人に限らず、多様化が進む今日で誰もが持つべき視点なのかもしれません。
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また、同社ではLGBTの人が「入りづらい」と感じるハードルをクリアした「パートナー共済」を提供しています。
▼パートナー共済をより詳しく知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。
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得意分野:家計改善/ライフプランニング/保険/老後資金
加藤 良
コメント
僕がFPとして意識していることはお客様に寄り添って、本音で話せる相談相手になることです。
今もこれからも関わるお客様の人生が少しでも明るくなっていただくことが目標です。
パーソナルトレーナーの資格も持つFPです。
お金の話の途中からダイエットや筋肉をつけたいという相談に変わってしまうこともあります。
トレーニング同様にお金回りも無駄をなくして、筋肉質な資産形成のお手伝いができればと思います。
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