執筆者:FP(元外資ファンドマネージャー)西出滋
得意分野:資産運用、ライフプランニング、教育資金、保険、住宅ローン、老後資金、相続、投資/お金の勉強
- ■ 金利の低下はポジティブなのか?
- ■ なぜここまで金利が低下しているのか?
- ■ 今回の場合の金利低下はどう動く?
- ■ 金利低下予想が、なぜ債券価格上昇になるか?
- ■ 足もと株式投資はリスクが拡大
- ■ どんなことでもOK!お金のプロに相談しよう
300億円運用していた元外資ファンドマネージャーの西出です。
米国で金利が急低下していることが話題となっていますが、株式投資において、金利の動きの背景や含意を理解することは極めて重要です。
そこで、この記事では金利の低下について解説していきましょう。
■ 金利の低下はポジティブなのか?
一般的には、金利の低下は株式投資にとってポジティブです。
しかし、今回のアメリカの金利低下は経済活動の鈍化を先取りした動きであり、株式投資のリスクは高まっていると言えます。
米国株が急反落、10年債利回りは一時0.9%割れ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-05/Q6QMWWT1UM1B01?srnd=cojp-v2
引用元:bloomberg
米国10年国債の利回りは2か月前(2月5日頃)に1.65%ありました。
それが3月5日には0.91%、低下幅は74bp(1bp=0.01%)に上っています。
急激な金利低下です。
今回の金利低下の理由を探る前に、金利の主な変動要因について確認します。
■ なぜここまで金利が低下しているのか?
それは、長期金利の変動要因です。
金利もモノと同じで需要と供給によって変動します。
「資金を借りたい」(=需要)
「資金を貸したい」(=供給)
資金を借りたい主体(政府、法人、個人等)が多ければ金利が上がり、貸したい主体(主に金融機関)が多いと金利が下がります。
例えば、好景気の場合は経済活動が活発化します。
・法人なら
設備投資拡大 長期資金調達増
→ 金利上昇圧力
・個人なら
住宅需要拡大 住宅ローン需要増
→ 金利上昇圧力
一方、不景気の場合は経済活動が鈍化します。
・法人なら
設備投資縮小 長期資金調達減
→ 金利低下圧力
・個人なら
住宅需要縮小 住宅ローン需要減
→ 金利低下圧力
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物価上昇(インフレ)の場合
→金利上昇圧力
→モノの価格が上がる前に購入しようと考え、資金調達が増える
物価下落(デフレ)の場合
→金利低下圧力
→モノの価格が下がるまで購入を控えようと考え、資金調達が減少する
一般的にこのようになります。
■ 今回の場合の金利低下はどう動く?
今回の金利低下は、さきほどの「長期金利の変動要因」で解説した次の要因を先取りする動きです。
■不景気の場合
経済活動が鈍化
・法人なら
設備投資縮小 長期資金調達減
→ 金利低下圧力
・個人なら
住宅需要縮小 住宅ローン需要減
→ 金利低下圧力
経済活動が鈍化し、資金需要が減少、
その結果として将来の金利が低下するだろうと予想した投資家が債券を購入したため債券価格が上昇(=金利が低下)しています。
■ 金利低下予想が、なぜ債券価格上昇になるか?
計算を簡単にするため割引率を考慮せず、『金利低下予想→債券価格上昇』の考え方を紹介します。
今ここに、金利2%の5年満期の債券が価格100円で購入可能だったとします。
この債券を保有した場合に受け取れる金額の合計は110円です。(①)
①利息2円×5年+償還金(満期金)100円=110円
ここで状況が一変し、景気悪化により金利が1%まで低下すると投資家が予想したとします。
金利1%の5年満期の債券を保有した場合に受け取れる金額は105円です。(②)
②利息1円×5年+償還金(満期金)100円=105円
この時、「①」の債券があれば、110円受け取れるので、
2)の受け取り総額105円との差額分である5円(110円ー105円)だけ価値が高まります。
そのため「①」の債券価格は100円から105円に上昇します。
お分かり頂けましたでしょうか?
これが金利低下予想が債券価格上昇につながるメカニズムです。
逆に、金利上昇予想は債券価格下落につながります。
■ 足もと株式投資はリスクが拡大
通常は、金利の低下は株式投資にとってポジティブに働きます。
金利が低下すると預金や債券投資によって得られる利息では満足できない資金がリスクをとって株式市場に流入するためです。
しかし、今回の金利低下は今後の景気鈍化を予想した動きです。
金利低下が予想する景気鈍化が現実となれば企業業績は縮小します。
企業業績を反映する株式投資の魅力は現時点で低下したと言えるでしょう。
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銀行、証券・投資顧問、保険と金融3業態全てを経験し、金融業界25年のFPです。自身の経験で培った知識を活かしてお客様の質問にお答えしています。外資系投信投資顧問とヘッジファンドで年金運用のファンドマネージャーを歴任しており、特に資産形成・資産運用のご相談を専門にしています。
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