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執筆者: リーファス株式会社 西崎 努
得意分野: 資産運用、老後資金
 
 
この記事を読んでわかること
  • NISA、iDeCoは目的なく始めてはいけない
  • 同調行動で資産形成を考えてはいけない
  • 手段にこだわるあまり、目的を忘れてはいけない

 

金融庁が公表したいわゆる「老後2,000万円問題」や5年ごとに行われる公的年金の財政検証の結果は、現役世代の多くの資産形成層にとって、老後のための資産形成について考えるきっかけになったはずです。

資産形成にあたって、まずは家計の浪費削減や、過度な保険加入の見直しなどで、貯蓄のできる生活を組み立てることが第一。
これによって余裕資金ができれば、貯蓄が増えるだけでなく、その一部で本格的に資産運用することも視野に入ってくるからです。

そこで、今回は資産形成を考えるときに話題となるNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の使い方について、より実践的なアドバイスをお伝えしたいと思います。

 

1:NISA、iDeCoは目的なく始めてはいけない

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NISAとiDeCoは、メリットがある一方で、それぞれデメリットもある制度です。

限られた資金で運用する場合、どちらの制度を利用するべきか悩む人は多いようですが、その判断基準は、

  • 投資目的
  • 投資可能な期間

の二つです。

例えば、住宅購入資金や教育資金、旅費、交際費、老後の資金を貯めるという、何のために投資をするのか、そして、いつ必要になる資金なのかを考えることです。

投資した資金を払い出して利用したいとき、その時点の運用成果によっては、元本割れをしている可能性もあります。そのため、使用目的が決まっている資金を全て運用するのではなく、その一部、もしくは全くの余裕資金で運用を考えることが前提となります。

出所:筆者作成

ここでさらに、NISA、つみたてNISA、iDeCoのうち、どれを活用して運用すべきか考える際のポイントを具体的に確認します。

ケース別で分かる!どれが有利?

(1)NISAが良い場合

100万円ぐらいまでの資金で短~中期(5年程度)を目安に、値上がり目的の投資をする場合

(2)つみたてNISAが良い場合

まとまった資金ではなく、毎月3万円程度で5~20年を目安に、積立投資で値上がり目的の投資をする場合

(3)iDeCoが良い場合

老後の資金作りを目的に10年以上かけて積立投資をする場合、iDeCoで投資をして「所得税控除」を受ける。60歳以降の受取時には「退職所得控除もしくは公的年金控除」を利用して老後資金にすると良い

このように投資金額や投資可能期間を考えれば、自分にとって最適な選択肢が浮かび上がってきます(共通点としてどれもが値上がり益が非課税となります)。

節税メリットがもっとも大きいのは?

ところで、単純に資産運用目的にこれらの制度を考えた場合には、もっとも節税メリットの大きいiDeCoがおすすめです。特に拠出時の税額控除と受取時の退職所得控除の節税効果は非常に大きく、それだけでも積み立てをして資産形成をするメリットはあるでしょう。

しかし、iDeCoのデメリットとして挙げられるのは、払い出しする年齢に制限があること。つまり、老後資金として利用するには良いのですが、住宅購入や教育費などを目的にしている資金の積み立てには向きません。積立期間中にお金が必要になった場合、iDeCoの資金を使いたいと思っても60歳までは使えない点には、十分注意が必要です。

また、会社でDC(企業型確定拠出年金)が導入されている場合であれば、DCの方が個人にとっては有利な場合が考えられます。

NISA、つみたてNISAは損益通算できない

では、NISAや、つみたてNISAはどうでしょう? 

NISAは年間120万円、つみたてNISAは年間40万円までと投資枠が決まっています。投資枠いっぱいまで使わないともったいないと考えて、ギリギリまで投資をしている方がいますが、そうとも言えません。

NISAは値上がり益が非課税というメリットがある一方で、損失が出ても損益通算に使えません。
そのため、すでに株式や投資信託を購入し、評価損が出ている場合は損益通算するために、あえてNISAを使わないという選択肢も考慮する必要があります。

 

2:同調行動で資産形成を考えてはいけない

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私たちアドバイザーがお金の相談に乗るときには、大きく分けると

  • 「増やす」
  • 「守る」
  • 「備える」
  • 「残す」
  • 「使う」

の5つの視点で考えています。

特に資産形成層であれば、「増やす」「備える」「使う」の3つを重点的に考えることが大切です。これから大きな支出があるなどライフイベントを控えている方は特に、お金の「使う時期」を考えながら資産形成をする必要があります。
そのためにも下図のようにライフサイクルに合わせた支出をイメージしておきましょう。

※金融庁「高齢社会における資産形成・管理」(令和元年6月3日)資料を参考に作成

 

しかし、将来と一口に言っても、老後不安の方や、住宅費用や教育費に悩んでいる方など、その将来はさまざまです。資産形成を含めて今後のお金の計画を考えるときに、「一般的には…」とか「周りの人たちは…」という話を、参考にしても、それをそのまま自分に当てはめることには注意が必要です。

例えば、私たちアドバイザーが個別面談でお会いする方は、大きく2パターンに分けられます。

一つは自分で計画的に今後の生涯設計を考えている方です。ライフプランを自分で作成している方も多くいらっしゃいます。そのため、プランニングに大きな修正は必要なく、微修正をした後に、余裕資金で資産形成を考えていくことになります。

もう一つのパターンの方は、大切なお金の話にもかかわらず、周囲に合わせて保険に加入していたり、何となく資産運用を始めていたりする方です。資産運用を少額から始めて、投資経験を積むことは非常に重要ですが、何となく始めてしまっては、自分にとって本当に必要な資産形成を行っていない可能性もあります。

特にお金の知識が少ない方ほど、周囲の話を参考に行動してしまいがちです。これを心理学では「同調行動」と言います。同調行動とは、たとえ自分の考えや意見と違ったとしても、周囲に合わせて自分も同じように行動してしまう心理現象です。

日常生活では周囲に合わせて空気を読む力も大切ですが、お金の話は各個人やご家庭ごとに事情は全く違います。特に家庭がある方、子どもだけでなく、両親や兄弟との関係が自分の生活に影響がある方は、それらも踏まえて考えなければいけません。

大切なお金のことです。一般論や参考例に踊らされることなく、自分の現状をしっかりと把握し、今後はどのようにライフプランを計画するべきなのかを自己責任で考えるべきなのです。

 

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3:手段にこだわるあまり、目的を忘れてはいけない

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老後2,000万円問題」というフレーズが広がっていますが、この火付け役となった金融庁の報告書の正式名称は「高齢社会における資産形成・管理」です。この報告書の中では、現役期、リタイア期前後、高齢期において、どのような考え方で資産と向き合うべきか、どのように対応するべきかが議論されています。

NISA、つみたてNISA、iDeCoは大きなメリットがある制度ではあります。しかし、その手段があなたが抱えるお金への不安や問題を解決するという目的にかなうかどうかは、ご自分次第です。

さらに加えて「NISA、iDeCoでやってはいけない使い方」として、特に気をつけていただきたい点をまとめました。

(1)お金に余裕があるからと、家計収支の内情を確認せずに、いきなり資産運用を始める

(2)投資金額を無理して多めに設定し、肝心の貯金ができない。もしくは途中で金額を減額するか、投資そのものをやめてしまう

(3)NISAを使うことが前提で、通常、証券投資で利用される特定口座や税金のことを理解せずに始めてしまう

(4)iDeCoとつみたてNISAを比較するときに、iDeCoの所得控除と受取時の退職所得控除(または公的年金控除)の仕組みを理解していない

(5)iDeCoで投資をしているのに、確定申告は年末調整で行っているか、自分で申告する必要があるのか、職場に確認していない

 

最後に、特に現役期にある方に向けて、将来のお金の不安を解消する近道となる方法を紹介します。ぜひ実行してみてください。

(1)ライフプランを立てる(人生は一度ですが、シミュレーションは何度でもやり直すことができます)

(2)なるべく早い時期から少しずつでもいいので資産運用を経験して有効性を実感する(投資経験の差が将来の大きな差になります)

(3)ライフイベントを鑑みて貯蓄を計画的に行う(貯蓄は時間を味方につけることが一番有効です)

(4)そのためにも無駄の少ない家計にする(何が無駄かは人次第、でも無駄と分かっているものはやめましょう)

 

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