小型株の魅力④小型株効果をいいとこ取り! リスク軽減法

 


積極的な株式投資

執筆者:斉藤琢也
得意分野:資産運用  

 小型株は「長期的に平均を取ると大型株より小型株のほうが上がりやすい」という傾向が知られています(小型株効果)。しかし、小型株への投資は、大型株への投資よりもはるかにリスキーで、実際に利益を得ることはなかなか難しい面もあります。

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このように、ハイリスク・ハイリターンな小型株へ、そのリスクの度合いを上手に軽減しながら投資する方法はあるのでしょうか?

対象を分散 | リスク軽減の第一歩

これは小型株に限った話ではないのですが、リスクを軽減する方法として、「分散」という考え方があります。特に、小型株のような変動率が高い、簡単に言えばリスキーな投資対象に関しては資金を特定の対象に集中させず、極力分散する、という考え方が絶対に必要です。

逆に言えば、単一の銘柄もしくは少数の銘柄に集中投資する投資手法は小型株の場合には得策ではありません。

有名な相場格言に「卵を一つのカゴに盛るな」というものがあります。卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした場合には、全部の卵が割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、そのうちの一つのカゴを落としカゴの卵が割れて駄目になったとしても、他のカゴの卵は影響を受けずにすむということです。

例えば、100銘柄に投資していて、そのうちの一銘柄が倒産してゼロになってしまっても、100銘柄のうちのひとつがゼロになるだけですから、全体としては1%の損失で済みます。逆にもし1銘柄でも小型株の醍醐味を発揮して10倍に上昇したとすれば、全体としては1割資金が増えるわけです。

しかし、例えば小型株100銘柄に分散して投資するようなやり方を個人が行うことは、非常に困難です。ただでも情報が少ない小型株の業績や値動きを100銘柄も追いかけていくことなど、ほぼ不可能と言って良いでしょう。

それでは、どうすれば良いのでしょうか?

小型株ファンド | 分散投資の最適解

賢明な読者はもうお察しかも知れませんね。投資信託経由で小型株に投資すれば、自分で多数の小型株に分散投資したのと同様の結果を得ることができます。

投資信託の中には小型株に絞って運用している、いわゆる小型株ファンドが存在します。このような小型株ファンドを購入すれば投資家ご自身で多くの銘柄を検討しピックアップしなくても、多数の小型株に分散投資をするのと同じ結果になるわけです。

小型株の運用の良し悪しは、銘柄の調査分析で決まります。銘柄の調査分析は小型株への投資に限らず、あらゆる株式投資において重要です。しかし、とりわけ小型株に関しては、そもそも一般に情報が少ないので、例えば会社訪問して経営者と直接面談するなどの丁寧な情報収集をすることにより、有益な情報を独占的に、もしくは他の運用者に先んじて、入手できることもありえます。インサイダー情報の取得には該当しないように細心の注意を払いつつ、足元の業務の手応えや決算の見通し・将来の展望などの有益な情報を丁寧に調査することは、運用成果の向上に大いに役立つと考えられます。

ここでは、具体的な投資信託の名前を上げることは差し控えますが、年間1,000社の企業を訪問して丁寧に現状をフォローし、その上で投資対象を選定しているような投資信託も複数あります。そして、私の見たところ、そのような投資信託はパフォーマンスも優れている傾向があると感じます。

年間1,000社も、ファンドマネージャーが継続的に企業訪問して情報を調べてくれた上で、銘柄を選定・分散投資してくれて、過去の長期的な運用実績も優れている、もしもそのような投資信託がみつかれば、投資家が自分自身でリスキーな小型株の個別銘柄に挑戦する必要性は乏しいのではないでしょうか。

もちろん、投資にスリルや楽しみを求める、ということであれば話は別です。投資の意味人により千差万別。それを否定するつもりは全くありません。

上位は小型株ファンドが独占 | 日本株投信の長期実績

以下は日本株投信のパフォーマンスランキングです(期間は10年間、本稿執筆時2020年3月時点)

出所:投資信託のモーニングスター|株式・投資信託・ETF・ニュース・ランキング

一瞥して、小型ファンドが上位を占めていることにお気づきになると思います。投資信託の世界でもはっきりと、「小型株効果」が機能していることがわかります。私は1年前にも別稿執筆のために同様のランキングを調べたことがあります。銘柄の顔ぶれや順位は若干違いますが、傾向としては全く同じでした。

小型株ファンドの変動率は高い | 個別株同様ファンドもリスキー

前段でお示しした10年間のパフォーマンスで2位につけているジェイリバイブを例に取ります。1位の銘柄は現在、運用のフリーハンドを確保するために、募集を停止しています。ただし、ジェイリバイブをここで取り上げるのは、小型株投信の特徴をお伝えしたいからであって、この銘柄をおすすめしたい、ということではありませんので、ご注意ください。マーケットの状況は変化するものですし、それによって個々の投資信託の実績も時間の経過とともに変化していくものです。投資家の皆様の投資に対する考え方によってもその方にとって好ましい投資対象は変わってきます。

ともあれ、以下は過去3年間のジェイリバイブと日経平均の比較チャートです。

出所:投資信託のモーニングスター|株式・投資信託・ETF・ニュース・ランキング

ひと目見て、小型株個別銘柄が株式の銘柄の中で変動率が極めて高く、リスキーであるということと、全く同じ傾向が小型株ファンドにおいても言えることがご理解いただけると思います。
つまり、小型の個別株式と同様に、小型株ファンドも上昇するときは激しく上昇しますが、下落するときも激しく下落するということです。

購入時期の分散 | 小型株投資には必須

小型株ファンドは専門のファンドマネージャーが、あなたの代わりに綿密に情報を収集し、場合によっては世界中で彼だけが知り得た情報をキャッチすることだってあり得るのですから、これを利用しない手はありません。

それでは、投資対象が多数に分散されているとは言え、それでも相当程度リスキーな小型株ファンドのリスクを減らすにはどうすればよいのでしょうか?

投資信託経由で小型株に投資することによって銘柄は分散しました。今度は時間を分散しましょう。
「時間を分散する」とは、一度にまとめて購入するのではなく、時間をずらして、様々なタイミングで(すなわち様々な値段で)購入する、という意味です。

心理的な負担も少なく、時間を分散する効果が発揮できるやり方に定額の積立投資があります。定額で同額ずつを積み立てていくやり方を特に「ドルコスト平均法」といいます。ドルコスト平均法の特徴は、株数や口数を決めて購入するのではなく、あくまでも、決められた金額を買い付けていくところです。

買う金額が決まっているのですから、値段が安いときにはたくさん買えます。値段が高くなると少ししか買えません。結果的に、安い時に買い、高い時には手控える、という行動を自動的に取ることになります。「今は安いから買っておこう」とか「今は高いから買うのはよそう」などと判断する必要はありません。

小型株ファンドは、このドルコスト平均法による積立に非常に向いていると言えます。上下に激しく値上がりしたり値下がりしたりしながら、結果としてよいパフォーマンスを上げやすい、という小型株投信の特徴により、値下がりした時に多くの口数を購入し、値上がりしたときには買う量を自動的に手控える、というドルコスト平均法の良い点がより強調されるからです。

ドルコスト平均法は、変動率が高い対象でなければ効果を発揮しません。変動率が低かったり、あるいは、変動の方向性が上昇し続けたり、下落し続けたり、という一方向へ偏った変動を示す対象にはドルコスト平均法は効果を発揮しません。その意味で、上下に激しく変動しやすい小型株投信への投資法には非常に向いていると言えます。

小型株ファンドと大型株ファンド | 定期的なリバランスにより安定運用

これまで、銘柄の分散、時間の分散という順番で小型株投資のリスク軽減法を検討してきました。

今度は、ポートフォリオの見直しによって高い時期に売り、安い時期に買う、ということを自動的に行うことを目指しましょう。

一例ですが、日本株に投資する時に、大型株投信と小型株投信を1:1になるようにポートフォリオを組んだとします。上昇相場では、小型株は大型株よりも大きく上昇する傾向があります。例えば、小型株投信が5割上昇し、大型株投信は2割の上昇にとどまったとしますと、ポートフォリオの比率は1.2:1.5となり、大型株の比率が2割少なくなります。この局面で、ポートフォリオをリバランスして、1:1になるように調整します。

つまり、大型株を0.15買い、小型株を0.15売れば、1.35:1.35、すなわち、1:1の同じ比率に戻り、当初の比率通りのポートフォリオを持ち続けることができます。
値下がりした場合は、逆の操作を行います。

このようなリバランスを定期的に行うことにより、小型株だけに投資することによるリスクを自動的に軽減することができます。つまり、相場が高く、それにより小型株投信が大きく上昇している時点で小型株投信を売り大型株投信を買うことになります。逆に相場が安く小型株投信が大きく値下がりしている時点で大型株を売って、大きく値下がりしている小型株投信を買うということになるわけです。中長期でこのようなリバランスを繰り返すことにより、自動的に上昇局面で小型株を売り、下落局面で買う、という行動を取りながら、小型株と大型株への分散投資を続けることができます。そして、より大きく変動しながらより上昇する傾向をもった小型株のメリットを、よりリスクを軽減した形で享受することができます。

小型株ファンドと債券ファンド | 株-債券の王道セットをアレンジ

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、前段でご紹介した投資方法は、株式ファンドと債券ファンドをセットにしてリバランスを継続することによって、株式ファンドを高値で売り、安値で買うことを自動的に行うテクニックの応用です。

株式ファンドと債券ファンドによるリバランスを行う場合に株式ファンドに、あえてリスキーな小型株ファンドを選択する(もしくは多めに配分する)ことで、より積極的な運用を行うことができます。

この方法は、特に若年世代の投資家が積立投資を始める場合に有効です。若年世代には、リスクを軽減するための武器、すなわち分散することができる時間が豊富に残されているからです。

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50代 / 得意分野:資産運用

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)斉藤 琢也

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コメント日本証券アナリスト協会検定アナリスト。日々相場の囁きに耳を澄ます。日本の投資家は株を投信の倍保有しているのに販売側は易きに流れ投信一辺倒。投資家が求める情報や知識を幅広く共有したい。投資の基本から一目均衡表まで。 東大文一2度不合格、早大法卒。 ※ 相場の先達、細田悟一氏の著書「一目均衡表」は私の聖書です。
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