小型株の魅力② 小型株効果が生じる理由


積極的な株式投資

執筆者:斉藤琢也
得意分野:資産運用  

「小型株効果」とは、「長期的に平均を取ると大型株より小型株のほうが上りやすい」という傾向のことです。これについては以前、別の投稿でご紹介しました。(小型株の魅力1_小型株効果とは

それでは、なぜこのような「小型株効果」が生ずるのでしょうか?それにはいくつかの理由が考えられます。

小型株が持つ成長の可能性

「小型株効果」が生じる1つ目の理由は小型株が持つ成長の可能性です。
別稿「小型株の魅力_小型株効果とは」では、ヤフーが店頭公開直後にいかに爆発的に値上がりしたか、そして、新しい産業が勃興し発展するときに、その産業の成長の恩恵を受けた小型株が目覚ましい成長を遂げる可能性についてお話しました。ヤフーの場合は 、明らかにインターネット関連産業がゼロスタートから巨大な産業へと変貌していく過程で、その恩恵をフルに享受した例だと言えます。このような爆発的な成長の可能性は、すでに成熟した大型株ではなく、小型株の特徴と言えます。

小型株は流動性が乏しく大口投資家が参入しづらい

小型株効果が生じる2つ目の理由は、小型株の流動性が乏しく機関投資家や外国人投資家が参入しづらい、ということです。

小型株は時価総額が小さいわけですから、流動性が乏しく、多額の資金を運用している機関投資家や外国人投資家は、取引の対象にすることが困難です。なぜなら、彼らが取引を希望する多額の資金量を用いて小型株を取引しようとしても、売りたいときに買い注文が少なく売るに売れず、逆に買いたいときに売り注文が少なく希望する値段で希望する数量を買えない、ということになりがちです。そのため、機関投資家や外国人投資家などの大口投資家は小型株を取引することが難しいのです。

機関投資家や外国人投資家などの大口の投資家は、以上の理由で小型株を取引することが難しく、多くの場合、購入を検討する対象から外れてしまいます。いくら有望な内容の小型株であっても、大口投資家からは購入の検討すらされないありさまでは、株価は上昇しづらくなります。

その結果、小型株は有望な内容であっても、結果的に割安な状態で放置されやすいということになりがちです。そして、いつの日かマーケットが何かのきっかけで、その割安な状態に気付いたり、あるいは、その小型株が成長を続けて小型株から脱皮する過程で、評価がジャンプアップし株価が上昇する可能性を秘めている、ということになります。

小型株は情報が乏しく真価が埋もれやすい

「小型株効果」が存在する3つ目の理由は、銘柄についての情報が乏しいために、その小型株が仮に、投資対象として有望であっても、その事実が投資家に伝わりにくい傾向があるということです。

これが既に大企業となっているような大型株の場合であれば、そのようなことはありません。例えば、日本を代表するような大型株であれば、その企業について様々な情報が報じられ、その結果、その情報が株価に反映されやすいと言えます。しかし、小型株は多くの場合、大型株と比べて企業の情報が乏しい傾向があります。

その結果、小型株は有望な内容であっても、結果的に割安な状態で放置されやすいということになりがちです。そして、いつの日かマーケットが何かのきっかけで、その割安な状態に気付いたり、あるいは、その小型株が成長を続けて小型株から脱皮する過程で、評価がジャンプアップし株価が上昇する可能性を秘めている、ということになります。

小型株はアナリストの分析対象とならないケースが多い

小型株の情報が少ないことの大きな原因に、証券アナリストが小型株の分析に消極的にならざるを得ない事情もあります。

証券アナリストは、投資家へ情報提供することを仕事にしています(所属している会社自身の運用に役立てることもあります)。なかでも、証券アナリストのうちの個別銘柄の担当者は、担当している個別銘柄の情報を収集・分析し将来性や安定性などを評価し、企業の内容に関してレポートを作成したり、場合によっては、そのアナリストが考える妥当な株価を示したりします(レーティングといいます)。

小型株の銘柄数は東証全体の8割近くを占めますが、時価総額はたったの1割に過ぎません。前述の通り小型株は機関投資家や外国人投資家の購入検討対象になりにくく、アナリストが小型株をあえて調査対象にする動機は乏しくなりがちです。なぜなら、いくら一生懸命小型株について調査・分析しても、大口の投資家がそのような情報を求めていないからです。

その結果、アナリストによるレポートの質や量が大型株に比べ少なく、小型株は有望な内容であっても、結果的に割安な状態で放置されやすいということになりがちです。そして、いつの日かマーケットが何かのきっかけで、その割安な状態に気付いたり、あるいは、その小型株が成長を続けて小型株から脱皮する過程で、評価がジャンプアップし株価が上昇する可能性を秘めている、ということになります。

Neglected-firm-effect(分析対象外効果)
アナリストによる調査・分析が少ない小型株は結果的に割安のまま放置されやすいという前述のような状況を、英語ではネグレクテッド・ファーム・イフェクト(Neglected-firm-effect)といいます。Neglected というのは、無視されている、との意味ですから、「アナリストから無視されていることによる効果」ということですね。

Small-firm-effect については日本語にも「小型株効果」という言葉があります。しかし、Neglected-firm-effectについては対応する日本語が存在しないようです。そこで本稿では便宜上「分析対象外効果」と呼ぶことにします。「分析対象外効果」は「小型株効果」の類型の一つと言えます。

小型株の運用で実績のある、エンジェルジャパン・アセットマネジメントが作成した資料によれば、2017年6月現在、証券アナリストが全く調査していない企業の割合は、全上場企業のうち、東証一部で42%、東証マザーズは70%、そしてジャスダックでは91%にのぼります。つまり、ジャスダックの9割以上の会社は調査しているアナリストが一人もいないことになるわけです。

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出所: http://www.sbiam.co.jp/fund/pdf/20170801_jrevive_rinji.pdf

 

数少ない情報も日本語オンリー(ザビエル曰く「悪魔の言語」)

上記に加えて、私は多くの日本の企業の情報公開が日本語だけで行われているために外国人投資家の投資対象になりにくいという面があると考えています。

なかでも小型株において英語で情報公開している会社は稀です。ましてアナリストレポートになると、前述のとおり「分析対象外効果」によって、日本語のものすらアナリストの分析が少ないわけですから、まして小型株の英語のレポートは非常に稀と言ってもよいと考えられます。

フランシスコ・ザビエルが「日本語は悪魔の言語」であると述べたことは、有名です。欧米人から見ると日本語の習得が、到底不可能と感じるほど難しいことはよく知られています。

ウォーレン・バフェットは、自分の理解できないものには投資しないということで有名です。そして彼は、日本株にはほとんど投資しません。私は常々、もしかすると日本株に投資する価値がないと判断しているのかもしれないと残念に感じて来ました。

しかし、ウォーレン・バフェットが日本株にほとんど投資しない理由の一つは、難解な日本語の障壁のために外国人にとって日本株の情報が不足している点ではないでしょうか?

反対側から見るなら、母国語が日本語である日本人のファンドマネージャーは、外国人と違ってストレスなく日本語の情報にリーチできることが、大きなアドバンテージになっていると考えます。

特に小型株の場合、ただでも少ない情報が日本語だけでしか存在せず、結果的に有望な投資対象である小型株がもし存在していても、そのことに気付いている投資家が非常に少ない、というような状況もあり得るわけです。


※ ご注意
本稿は小型株への投資をおすすめする趣旨ではありません。単に小型株効果が生じる理由について述べたものです。小型株効果を投資に落とし込む具体的方法論は、なかなか奥の深いお話です。

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執筆者

50代 / 得意分野:資産運用

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)斉藤 琢也

  • 資産運用

コメント日本証券アナリスト協会検定アナリスト。日々相場の囁きに耳を澄ます。日本の投資家は株を投信の倍保有しているのに販売側は易きに流れ投信一辺倒。投資家が求める情報や知識を幅広く共有したい。投資の基本から一目均衡表まで。 東大文一2度不合格、早大法卒。 ※ 相場の先達、細田悟一氏の著書「一目均衡表」は私の聖書です。
個人ホームページ「投資クリニック」
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